<女性における影響>
薬により、胎児にあたえる影響力に差があります。妊娠を希望する、あるいはすでに妊娠している場合には、当然できるだけ影響力の低い薬を選ぶ必要があります。
また妊娠の時期によって、胎児に影響が出る場合があります。妊娠3ヶ月までの初期では、胎児の主要な器官が作られる時期(=奇形の生じやすい時期)ですので、薬は最小限にしたほうがよいでしょう。また、出産間際の服用では、新生児に薬が持ち越して禁断症状のような症状が出る場合があるので服用の仕方を工夫する必要もあります。ただし「有益性投与」という言葉があるのですが、飲んだリスクと飲まなかったリスクを比べた場合、服用したほうが利益が大きいと考えられる場合には、是非服用してください。当院では服用中の薬について、絶対禁忌(服用してはいけない)のカテゴリーに入るのか、あるいは有益性投与(必要なら服用して可)の範疇に入るのか全て提示しておりますので、お気軽にお声をおかけください。
もうひとつ、産婦人科医に相談するのもお忘れなく。虎ノ門病院では「妊娠と薬の相談外来」というものを開いているようです。国立成育病院でのご相談は北林までお問い合わせください。
<男性における影響>
安定剤は連続して服用するがゆえに、女性の場合多少の問題があるわけですが、男性の場合は、ほとんど影響がないといえます。
したがって女性が服用する場合ほど神経質になる必要はないと思います。
原因として3つにわけられます。
①抑うつ症状による。
②年齢、喫煙、飲酒。身体疾患(糖尿病、高血圧、心臓疾患など)
③性機能障害を起こしうる薬剤があります。降圧剤、利尿薬。抗精神病薬、てんかん薬、ステロイド、逆流性食道炎の薬、抗ヒスタミン剤、化学療法剤などなど。抗鬱剤もまた性機能障害を起こしやすいものがあります。
この場合は比較的性機能障害を起こしにくいとされる薬への変更も必要かもしれません。遠慮なく主治医にお申し出ください。
バイアグラに関しては心電図検査をはじめとする検査が投与前に必須ですので、必ず泌尿器科を受診しご相談ください。
いわゆるメジャートランキライザー(抗精神病薬)のことですね。
まず本当に統合失調症である場合、医師から統合失調症と言われていないのに出されており、自分で納得がいかないこともあるでしょう。この場合はどうぞ医師に問い合わせてみてください。統合失調症は不治の病ではないのですから心配しすぎることはありません。
治療法、治療経過についてご説明いたします。
うつや、パニック、神経症などと説明されている場合、不安感や焦燥感を軽減するのに少量のメジャートランキライザーは大変有効です。
私もリスパダール・ジプレキサなどを時に使用します。
また睡眠導入剤としてレボトミンやコントミンを少量使用することがよくあります。いずれも副作用としての「眠気」を利用し、なおかつ不安を軽減するという安定剤の本来の作用を期待して、処方しています。
ある種の安定剤では確かに生理が不規則になり、時には止まってしまうことがあります。同時に乳房がはって乳汁が少量出る方もいらっしゃいます。これらは薬がホルモンに影響を与えることによるものです。「生理なんかない方が楽でいいわ」「じんわりおっぱいがにじむ程度だから、まあいいわ」という女性にはそのまま使用継続します。
一方「ないといやです」「おっぱいはちょっとねえ」という方には別の処方で工夫することができますので申し出てください。
原因薬剤を中止後およそ一ヶ月で生理はもとの状態にもどります。
この副作用を起こしやすい薬の筆頭はドグマチール(=アビリット、ミラドール)です。SSRI(デプロメール、ルボックス)他の抗うつ剤、精神安定剤でも時に起こるようです。
安定剤を服用することで不安感がとれたり、抑うつ気分が改善されるために、「食べようかな」という気持ちが出てきたり、「おいしいと思えるように」なり食欲が出てきます。その結果として摂取量が増え、体重が増加する、という流れになるのだと思います。風と桶屋のような関係ですね。
その他、病状が軽快すると、同じだけ食べているのに妙に消化吸収能力がよくなって体重が少しずつ増えていく、という方もいらっしゃるようです。太ることができるということは、精神状態が改善されたというバロメーターであるともいえます。
その一方で薬の副作用で太るケースもときどきあります。
薬は大変有効であり、必要だから使っているのです。
さて肺炎のときに「薬を飲むな、気合で治せ」という家族はいないでしょう。それなのに自律神経やうつ病といった精神にかかわる病気では「気合気合」「辛抱が足らん」「怠けているからだ」と連呼される。
家族は自分の係累や配偶者が「心の病気になっている」とは認めたくないのです。おそらく偏見をもっているのでしょう。
ご家族にも一度このページを見せてください。そしていっしょに話し合ってみてください。それでは埒があかない、という方は、どうぞご家族を当院へお連れください。
みんなで病気の情報が共有できるように努力したいと思います。
ごめんなさい。努力はしているんですが。
できるだけ早く返信をだせるよう心がけておりますが、自宅にいてカルテをみることができない、といった理由でお返事の遅れることがあります。あらかじめご了承ください。
なお現在他の医療機関を受診中で、「その先生には聞きづらいので」と、私に医療相談を寄せられる方がいらっしゃいますが、この場合、担当医に聞くのが筋ですので、当方から返事は出さない方針です。ご了承ください。
安定剤には眠くなったりリラックスさせたりする作用がありますから、確かにぼうっとして集中力が低下⇒記憶力が低下するような感じがすることは起こりえると思います。と同時に病気そのものの影響も考えられます。うつ病/鬱状態では病状として集中力の低下が起こりますので、「昔の自分に比べて頭がさえない感じがする」状態になります。
ですから「薬でばかになった」などと即断せず、病状が改善されるまで是非ご辛抱ください。
困りましたね。基本的には薬物摂取下では減圧症のリスクが高まると言われています。また安定剤全般は中枢神経の働きを抑制します。海底での行動中に判断力が鈍ると、即死亡事故につながります。従いまして、ダイビングをするなら、薬物摂取はしないこと、が原則です。ガイドがついていても、どうにもならないことも多々あります。10メートル台の水深だからといって、危機を回避できるものでもありません。
サプリメントのなかには甲状腺ホルモン末を含むものがあり、抗うつ剤と併用することで問題の出るケースがあります。
また鬱に効くというセントジョーンズワートは抗鬱剤の血中濃度を低下させる(効かなくさせる)といわれています。
サプリメントも薬物である以上無害ではないので、併用については主治医にお確かめ下さい。
守秘義務がありますので本人の同意なしに病名、病状など説明することはできません。ご本人と同席されるか、ご本人から主治医に「今度家族が行くと思うけど説明してやってください」と連絡をいただければさいわいです。会社の人が「病状をききたい」といって突撃してくることもありますが、これも「話せない」ことでは同じことです。必ず本人と同席してください。
海上自衛隊潜水医学実験隊の研究によると、絶対にしてはいけないもの:脳卒中、けいれん、てんかん、ADHD、後遺症のある脊髄損傷など考えたほうがいいもの:脳性まひ、呼吸器疾患、循環器疾患ということになっております。
脳卒中やてんかんは、要は海底で発作を起こせば、それで命が終わる疾患ですし、またADHDは注意と判断力の障害ですから、やはりダイビングをすることは不適切です。
呼吸器および循環器の疾患につきましては専門医にお尋ねください。
税理士によると、公費負担だけでは残念ながら税法上の「障害者」として税額控除を受けることはできないそうです。
少なくても障害者手帳の2級以上がないと控除の恩恵は受けられないようですが、個別のケースは所轄の税務署にお尋ねください。